ワークショップ:タイムスライス―時の止まった世界で遊ぶ―
企画:メディアデザイン領域 映像・放送コース
日時:2月13日(土) 13:00-16:00
場所:成安造形大学 聚英ホール
メディアデザイン領域 映像・放送コースが企画し、普段体験できない実写による映像つくりを体験してもらうためのワークショップ「タイムスライス―時の止まった世界で遊ぶ―」が行われました。これは同日に開催された、本学を高校生に紹介するSEIAN WATCHING大学見学会のプログラムの1つでした。約20名の高校生と保護者の方にタイムスライスを体験していただきました。使用機材は本学情報メディアセンターより提供され、会場での指導も情報メディアセンターの職員が行いました。
タイムスライスとはアメリカ映画「マトリックス」(1999年 公開)で広く知られる、多数のカメラで被写体を同時撮影する特殊撮影です。今回、直径約8mの円周に36台の一眼レフカメラを等間隔に置き、円内の人物に向けて一斉にシャッターを切り撮影しました。撮影された36枚の写真を順番に再生していくと人物の周囲を自分が移動しながら見ているような映像となります。それはあたかも静止した時間の中を撮影者だけが歩き回るSFのような動画として表現されます 。アクション映画の特殊撮影で注目されがちのタイムスライスですが、今回は外面的な表現だけではなく心情表現をテーマとして行いました。
コートをはおる、フライパンで野菜をいためる、霧吹きをつかう等、ささやかな心情を伴ったふるまいを撮影していきました。普段意識することもない日常的なふるまいですが、タイムスライスとして撮影すると、時間が止められたふるまいが彫刻のように表れ、その非日常の姿に目を奪われます。またそれとともに一瞬の心情が静止した表情として定着します。その心情をともなった姿を一周しながら見ることは、1つの視点の写真とは異なった36の視点からの心情の読みとりができます。参加された皆さんは撮影とその再生が行われる度、映像の中の自分や参加者を見て、驚きの声をあげられていました。
このワークショップをきっかけとして、実写映像の表現の可能性や多様性を知っていただけたと思います。映像の表現の仕方は1台のカメラの録画ボタンを押すだけではありません。そもそもタイムスライスのように多くのカメラで撮影される表現はマイブリッジという写真家が1878年に行ったものです。映画が発明される以前のことです。百数十年を隔てた現代にマイブリッジの手法が現代の映画表現の特殊効果として応用されたのです。今後、映像表現は従来と大きく異なる撮影や再生装置により変化していくことが予想されます。このタイムスライスという技法が単なる風変わりな特殊撮影としてでなく、新たな映像表現を考えたり、生み出す機会となればと思います。
メディアデザイン領域 映像・放送コース
教授 櫻井 宏哉
<企画>
メディアデザイン領域 映像・放送コース
<協力>
情報メディアセンター
入試広報センター
指導:成安造形大学 情報メディアセンター 五十嵐 亮介
撮影スタッフ:
川島 草太(メディアデザイン領域4年)
近藤 颯人(メディアデザイン領域2年)
鈴木 春花(メディアデザイン領域2年)
長谷川 瑠夏(メディアデザイン領域2年)
小田原 朱里(総合領域3年)
再生アプリ開発
真下武久研究室(メディアデザイン領域教員)
アシスタント:益岡裕子