受賞作「氷解(Metamorphose)」
イタリアで9月20日に開催された実験映画祭「第9回イブリダ・フェスティバル」で成安造形大学・情報デザイン領域・映像コース卒業生(2023年度)の北村嘉久(きたむら よしひさ)さんが国際ビデオアート賞を受賞しました。
受賞作品「氷解」(英文タイトル:Metamorphose)は北村さんの卒業制作作品です。
氷が溶けていく過程の中で生じる動き、質感、泡、水滴などの変化を観察し、普段気付かない氷の溶ける美しさを表現した約3分間の映像作品です。
授賞式で北村さんへの賞状を持つ審査員。背景の英文は「氷解(Metamorphose)」のタイトル。
イブリダ・フェスティバルは、2015年にヴェルトフ・プロジェクト(Vertov Project)によってビデオアート分野を研究、調査し、普及させることを目的として開催されました。その後、パフォーマンスアート、電子音楽やビデオを複合したインターメディアのフェスティバルとして継続しています。ボローニャと隣接するフォルリ市内の会場で3日間開催されます。
フェスティバルのプログラムの一部はコンペティションで構成されています。例年、約550作品が応募され、約50作品が入選しています。今年は入選した全作品に対して最優秀作品賞を国際部門(イタリア国外)1本、国内部門1本に割り当てられました。その他はファブリカ賞(25歳以下の作家対象)1本、佳作賞3本が設けられました。北村さんの作品はイタリア国外からの入選作品38作品の中からの最優秀作品として「国際ビデオアート賞」が授与されました。
なお、北村さんの作品は、賞金として、2000ユーロ(約32万円)が授与されます。この賞金はビデオアートの研究と収集で知られるブラジルのアルフレード・ヘルツォーク・ビデオアート・コレクションの作品買い取りによる報酬です。
授賞式の会場で上映される北村さんの録画映像による受賞スピーチ
以下は審査員から発表された受賞理由です。
「この作品はシンプルでありながら、強く象徴的な出来事を、印象的な視聴覚のスペクタクルに作り変えています。水の要素は、その移り変わりの中で、自然の変容を象徴するものとなり、生命の根源的な現象と変化のように感じられます。この美しい現象は、素材に浸透する光の色彩と、創意に富んだ音の使用によって、技術的にも美的にも洗練されたものとなっています。北村氏は鑑賞者を短いながらも深い瞑想の旅へと誘います。」
受賞作品リストと上記の審査員評(英文)、イブリダ・フェスティバルの公式WEBサイト
https://www.ibridafestival.it/ibrida-video-art-prizes-2024/
受賞作「氷解(Metamorphose)」の1分間のダイジェスト版は以下から視聴できます。
https://www.youtube.com/watch?v=WvuZOj8AScI&t=3s
イタリアの映画情報サイト「Cinema Italiano」に掲載された北村さんの受賞記事
受賞に関わる詳細は以下です。
第9回イブリダ・フェスティバル
9th IBRIDA -a festival of intermedial arts
日程:2024年9月20日-9月22日
会場:イタリア、フォルリ市
主催:ヴェルトフ・プロジェクト(Vertov Project)
受賞作品リスト
1)国際ビデオアート賞 1本(International Video Art Award)
「氷解(Metamorphose)」北村嘉久(日本)
2)イタリアン・ビデオアート賞 1本 (Italian Video Art Award)
「BINARY BLUES」 Francesca Fini (Italy)
3)ファブリカ賞<25歳以下対象> 1本(Fabrica Award)
「É incidente」Alessandra Breviario (Italy)
4)佳作 3本 ( Special Mention )
「CYCLEPATHS」 Anton Cla (Belgium)
「Self-portrait 」 Valentin Sismann (France)
「The View from the Plane – Daniele Grosso」 (Portugal/ Italy)
審査員
1)ヘルナンド・ウルティア Hernando Urratia(ポルトガル)ポルトガル大学教授
2)ベロニカ・ダウリア Veronica D’Auria (イタリア)ローマ美術大学講師
3)キカ・ニコレル Kika Nicolela(ブラジル)キュレーター
フェスティバル会場のエントランス
フェスティバルのシアターの様子
インスタレーション作品の展示会場
フェスティバルの審査員とスタッフ