
イタリアのフォルリ市で9月1日から開催されている実験映像展「デジタル・アナトミー」に成安造形大学・情報デザイン領域・映像コース卒業生(2023年度)の北村嘉久(よしひさ)さんの映像作品が出展されました。
この展覧会は、実験映像祭「イブリダ・フェスティバル」の10周年を記念し、これまで発表された作品の変遷を多角的に検証しながら、この10年間における映像表現の変化を考察する企画展です。ビデオアートの基礎を築いた先駆的な作家であるゲイリー・ヒルやロベール・カエンから、新進気鋭の現代作家まで、55人のアーティストが選抜されました。
北村さんは昨年のイブリダ・フェスティバルで国際部門の最優秀作品賞を受賞した実績から選ばれました。

出展作品「氷解(Metamorphose)」
デジタル・アナトミー展(原題:ANATOMIE DIGITALI )
会期:2025年9月1日-10月12日
会場:ディーノ・ゾーリ財団(Dino Zoli Foundation)、イタリア、フォルリ市
主催:ヴェルトフ・プロジェクト(Vertov Project)、ディノ・ゾーリ財団(Dino Zoli Foundation)
カタログ(PDFファイル):
https://drive.google.com/file/d/1wm6AP9arqX-dEc4156zLE4E6qtLBYC1Q/view?usp=drive_link
ウェブサイト:https://www.ibridafestival.it/anatomie-digitali/

北村さんの作品が掲載されたカタログ
出展された北村さんの作品「氷解」(英文タイトル:Metamorphose)は成安造形大学での卒業制作作品です。昨年、イブリダ・フェスティバルで受賞した他、国内外7か所のコンペで入選しています。作品の内容は氷が溶けていく過程の中で生じる動き、質感、泡、水滴などの変化を観察し、普段気付かない氷の溶ける美しさを表現しています。
「氷解(Metamorphose)」のダイジェスト動画(1分)
https://www.youtube.com/watch?v=WvuZOj8AScI

展示会場のディーノ・ゾーリ財団
北村さんの作品への論評(展覧会カタログより。Bruno Di Marino著)
「日本人作家の北村嘉久による 『氷解』ではマクロレンズを駆使し、CGを使わずに自然界で起こる変化を撮影しています。これは前衛芸術の時代(20世紀前半)における科学映画の伝統に沿った手法であり、電子・デジタル映像の先駆けでもありました。たとえば、オランダのヤン・コルネリス・モル(1891 – 1954)が顕微鏡で化学物質の結晶化過程をタイムラプス撮影し、抽象的な構図を作った例が思い起こされます※。伝統的なアニメーションもデジタルアニメーションも、言語やジャンルの絶え間ないハイブリッド化の中で、重要な役割を果たしています。」
※引用されたヤン・コルネリス・モルの作品の1つを以下から視聴できます。
北村さん同様、物質の結晶が題材になっています。
「Crystals in Color」1935年制作
https://www.youtube.com/watch?v=NAsw3mnUBNM

会場風景 ゲイリー・ヒルの作品「SELF ( ) series」

会場風景 ゲイリー・ヒルの作品「SELF ( ) series」




会場風景


会場風景 内覧会のプレゼンテーション
写真提供:Vertov Project、Ibrida Festival、Dino Zoli Foundation