公開講座 2024.10.16
『プロジェッタツィオーネに学ぶ控えめな創造力』 — 今こそ必要なデザインアプローチとは?

情報デザイン領域・総合領域・空間デザイン領域・地域実践領域の4領域主催で、多木陽介氏・岩村彩氏・浪本浩一氏をゲストに、特別講義を行います。一般の方にも開かれた公開講座として開催しますので、ぜひご参加ください。


『プロジェッタツィオーネに学ぶ控えめな創造力』 — 今こそ必要なデザインアプローチとは?

2024年10月16日(水)聚英館3階ホール

第1部 17:00〜18:45 「プロジェッティスタのものづくりと控えめな創造力」 

イタリアの取り組み事例を踏まえて、「控えめで対話的な創造力」とは何かについて考えます。
語り手:多木陽介、岩村彩、浪本浩一

第2部 19:00〜20:40「イタリアのプロジェッティスタとムナーリ・メソッド」

戦後イタリアのアキッレ・カスティリオーニ、ブルーノ・ムナーリなどのデザイナーから、現代を生き る私たちに必要なデザインアプローチについて学んだ後、ワークを通して体感します。
語り手:多木陽介

(第2部からでもご参加いただけます)


「コミュニケーション」という言葉の意味は、「(情報や意志を)伝えること」だと、多くの人が思っているでしょう。実はその語源は「共有」です。「場を共にし、相手の話に耳を傾ける」こと。「コミュニティ」も語源は同様で、「一緒に持つ」という意味から派生した言葉です。
今回、イタリアで倫理的、社会的な活動を行っている「プロジェッティスタ」と呼ばれるデザイナーや活動家たちから、「対話的な創造力とはどのようなものなのか」を学びます。プロジェッティスタたちは、ものづくりを始める前の、素材とのコミュニケーションを大切にしました。素材をじっくり観察したり、音を聞いたり、感触を確かめたりという素材の持つあらゆる可能性を引き出すための準備です。
そして彼らは、ものづくりだけではなく、よい社会になるようなプロジェクトを他者と関わりながらみんなで実践してきました。
今回の講義では、プロジェッティスタたちがどのように素材を観察し、どのような視点で社会を見つめ、ものづくりを行ったかについて、ローマ在住の多木陽介さんから学びます。


ゲスト

多木 陽介 氏 批評家・アーティスト

ローマ在住。多様な次元の環境(自然環境、社会環境、精神環境)においてエコロジーを進める人々を扱った研究を展開。芸術活動、展覧会・移動教室のキュレーション、講演等、多様な方法で生命をすべての中心においた人間の活動の哲学を探究している。著書に『失われた創造力へ』(どく社)などがある。

岩村 彩 氏 編集ライター・童話作家

教育・福祉・多様性理解の分野への編集執筆や童話作家として活動中。2024年3月にイタリア移動教室に参加。童話に『てんとうむしくん と かたつむりくん』(福音館書店 こどものとも年中向き)などがある。

浪本 浩一 氏 グラフィックデザイナー

2017年9月、ブルーノ・ムナーリ協会会長シルヴァーナ・スペラッティ氏による「ブルーノ・ムナーリ・メソッドの基本要素」に関する18時間の講習会修了。2019年10月にイタリア移動教室に参加し、プロジェッティスタたちから多くを学ぶ。


第1部 17:00〜18:45 「プロジェッティスタのものづくりと控えめな創造力」 

イタリアの取り組み事例を踏まえて、「控えめで対話的な創造力」とは何かについて考えます。

語り手:多木陽介、岩村彩、浪本浩一


ブルーノ・ムナーリ協会会長 シルヴァーナ・スペラーティさんのもとで行われている創造的教育法「ムナーリ・メソッド」


アレッサンドリア市の旧市街地に集積しているソーシャル施設のうちのひとつ「地区の家」


子どもと青少年のための絵本を出版しているカルトゥージア社のパトリツィア・ゼルビさんと多木陽介さん


知的障害者とデザイナーとの協働で質の高い商品を製作販売しているラボラトリオ・ザンザーラ


第2部 19:00〜20:40「イタリアのプロジェッティスタとムナーリ・メソッド」

戦後イタリアのアキッレ・カスティリオーニ、ブルーノ・ムナーリなどのデザイナーから、現代を生き る私たちに必要なデザインアプローチについて学んだ後、ワークを通して体感します。

語り手:多木陽介


戦後イタリアでデザインの基礎を作った父祖の一人、アキッレ・カスティリオーニ。


カスティリオーニは、いつも、身の回りにある物たちの中に隠れている知性を解読し、それを製作に活かしていた。


ブルーノ・ムナーリの「フォークランド」。このカーブは、作者ではなく、素材の弾性と重力が生み出したもの。


カスティリオーニ兄弟のスイッチ「ロンピトラッタ」。誰も巨匠が作った作品と知らずに買っていたベストセラー。
デザイナーは、目立たず、控えめに、黒子のようであるべき存在、と彼らは考えていた。


創造力の木:創造力は、環境と人間と技術がつながった大きな木のようなもの。自分たちがこの木の全体像を認識できているかどうかは重要である。

    
ムナーリ・メソッド「記号(点、線)」